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奈良県橿原市にある鍼灸院・接骨院

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アトピー性皮膚炎の症例

こんにちは、ぐっさんです。

患者様から掲載許可をいただきましたので、アトピー性皮膚炎の症例を書きたいと思います。

患者の年齢は30代男性で、子供の頃より症状があり、一旦大学進学時に一度改善したが、数年前から症状が再発し、今年になって仕事が特に忙しくなってから症状が悪化したとのことでした。

大阪の高槻の漢方専門の病院に通ったが改善に至らず逆に体の冷える症状が続き、その時に病院で処方されていたのが、十味敗毒湯と補中益気湯とのことです。

どうしても、病院の漢方は1人を診察する時間が短いため、病気の本質を見極められないまま、治療法を決めているため患者様にあったものを提供できていないところがあります。

症状が出たきっかけを詳しくお聞きしたところ、今年になり仕事が忙しくなってから症状が出たとのことだったので、根本は疲労が原因ではないかと考えた。

その他の症状として、盗汗があり、食事中も汗が漏れる症状もあるとのことでした。

汗が漏れる症状があるということは、黄耆が入った処方が使えるのではないかと考えた。

新古方薬嚢曰く、黄耆は味甘微温、外を補い堅きを緩め寒さを除く事を主る、故に自汗盗汗を治し肌表の滞を消すと記載があります。

また、金匱要略の水気病の桂枝黄耆湯の条文にはこのように記載があります。

黄耆之病兩脛自冷假令發熱此屬歷節食巳汗出又身常暮盗汗出者此勞氣也若汗出巳發熱者久久其身必甲錯發熱不止者必生惡瘡若身重汗出巳輙輕者久久必身瞤即胸中痛又從腰以上必出下無汗腰髖弛痛如有物在皮中状劇者不能食身疼重煩燥小便不利此爲黄汗桂枝加黄耆湯主之

簡単な訳だと、両足の脛が何もしないのに冷える。もしその場合に発熱すると、これは歴節病(半身が動かなくなる、肘から手首の先が不自由になるもの)である。また食事が終わると汗が出たり、また別に病はないが、夜、床に入って寝ると、寝汗をかくものは、これは疲労からきているのである。もし体が重く、だるくて、苦しいのに汗が出終わると、たちまち軽くなるようものは、久しくして必ず身がピクピク痙攣するようになり、そうなると胸の中が痛みまた腰から上には必ず汗が出て、腰から下には汗が出ず、腰の骨が弛んで痛み、その症状がまるで皮膚の中に何物があるような感じがする。症状の激しいものは、食欲がなく、食べることができず、身体が疼き、痛み、重く、だるくてほてり、ひどく苦しみ、小便の出が悪いものは、これは黄汗の病なのである。

この条文を参考に今回疲労によって症状がでていることから、血痺虚労病の黄耆建中湯を選択した。

アトピー性皮膚炎の方は、腸内環境の働きも低下しているため、少しの添加物でも反応するので、食養生として、有機大麦若葉で、水溶性食物繊維が多く含まれた青汁を選択し、鍼灸の本治法は内関と公孫、衝陽に行い、後背部置鍼を行った。

あと、痒みが強いと瘢痕化するケースが多いので、痒みが強い時は、ステロイド軟膏を塗るように指導した。

5日後に来院時にだいぶ痒みがな無くなり、現在3回目で皮膚の炎症しているところがかなり少なくなったとのことでした。

今回は黄耆が入った処方がすごく効果が出ましたが、皮膚疾患は色んな視点から考えていかないといけないので、一例として参考になったら嬉しいです。