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奈良県橿原市にある鍼灸院・接骨院

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東洋医学に出てくる土用ってなんなの?

こんにちは、ぐっさんです。

最近いろんな方から質問を受けますので、古典に記載している部分を転記した上でで解釈を書いていきたいと思います。

その部分は金匱要略(きんきようやく)の臓腑経絡先後病に1条に記載があります。

問曰上工治未病何也師曰夫治未病見肝之病知肝傅脾先實脾四季脾王不受邪卽勿補之中工不曉相傅見肝之病不解實脾惟治肝也夫肝之病補用酸助用焦苦益用甘味之藥調之酸入肝焦苦入心甘入脾脾能傷腎腎氣微弱則水行水行則心火氣盛心火氣盛則肺被傷則金氣不行金氣不行則肝氣盛故實脾則肝自愈此治肝補脾之要妙也肝虚則用此法實則不在用之經日虚虚實實補不足損有餘是其義餘藏準此

基本的に漢方の原点である、傷寒論(急性疾患…風邪など)金匱要略では、問答形式になっています。今回記載する内容は金匱要略の1条目の考え方は治療の原則を述べています。

お尋ねしますが、上工(名医で9割まで病人を治せる医の事)が未病(病が他に移行していない時の病態をいう)を治すというけれども、それはどういう事ですか?師が答えるには、一般に未病を治すという人は、肝(東洋医学における概念なので、西洋医学の肝臓ではない)が病んでいる状態をみて、肝の病が脾臓に影響を(病は相克に影響を及ぼすため)およぼしていることがわかるから、まず1番最初に脾臓を実させてやりなさい、その場合に、土用の季節には脾臓の働きが旺盛になるので、病いを受けない(患者さんの状態によって変わります。普段から体を無理をしている方は、逆に体調が良くなる場合があります。)ので脾臓を補うようような治療をしてはいけません。

ところが中工(病人を7割位治せる医者のこと)は影響を受けていることが気づかないで、肝の病を見て脾臓を実させればよいということが理解できずに(基本的に肝を直接補う生薬は少ない)、肝の病を治そうと一生懸命になっている。一般に肝の病には、酸味のクスリ肝の働きを補うもので、焦苦の味のクスリが肝の働きを助けて行き、そして調和していきます。

 そして、酸味のものは、肝に入って、肝の働きを補うものであるし、焦苦のものは、心に入って、心の働きを補うものであるし、甘味のものは、脾に入って、脾胃の働きを補っていくものである。

 そして脾臓はよく腎の働きをおさえつけるものである。腎の働きが弱って、かすかになってくると、水の体内での巡りが悪くなってきます。水が停滞すると、心である火が盛んになります。心臓が盛んになると、肺の働きが抑えつけらてきます。肺の働きが抑えつけられると、金気である肺の働きが弱って、気が巡らなくなっていきます。肺の働きが弱って、気が巡らなくなると、肝臓の働きが盛んになります。

 そういうこともあって、脾臓の働き補って実させてやると、肝臓が自然とよくなります。

 これは、肝臓の病を治す場合に、脾臓を補って治してやる大切な治療なんです。この治療法に肝臓が弱っている場合に使う方法であって、熱を持っているケースでは使いません。医書でも言っていますが(難経八十一)、虚しているものを、さらに虚させてしまったり、実しているものを、その上に実しさせるようなことをしてはいけない。不足しているものは補い、あり余っているものは損じて減じてやる。これが肝臓が弱った時に、脾を実するという意味になります。他の臓器が弱った時もこのルールに従って治療を行いなさい。

基本的に傷寒雑病論は、素問、霊枢、難経…などの古書を臨床に応用しやすいように作られたハンドブック的な本なので、これを書いた人は相当優れた知識の持ち主だったと窺い知ることができます。

また江戸時代でさえ原典を超える発想されておらずどちらかというと鑑別できないケースの場合は合法してまんべんなく効果を出すような処方が作られていることから、2000年前の漢方医療や治療家の技術は相当高いものだと考えられる。

土用について記載しようと頑張って書きましたが、蛇足で漢方治療の基本的な解釈まで書いてしましました。東洋医学の考え方の参考になったら幸いです。